イギリスで始めたこと

椎名誠の本を読んでいたら美味しいうどんを食べに行く章だった。
読んでいて昔ススキノにあった五右衛門といううどん屋を思い出した。

２０代の頃、友達五人でよく飲み歩いていた。
ひとしきり飲んでそろそろ帰ろうかという時に友達が美味しいうどん屋に
連れて行ってあげると言った。
小さな店で食べたらすぐ出てこなければいけないこと。
店のおじさんたちがちょっと怖い事を店に着く前に教えられた。

店の外には五右衛門とかかれた赤い提灯がぶら下がっていた。
店の中は７,８人しか座れないカウンターだけ。
うどんを食べている客の後ろには次の客が立って待っていた。
３人のおじさんが黙々とうどんを作っていた。
ダンプの運ちゃんのように体格がよくてやーさんのように怖そうな顔だった。
ようやく私たちの番が回ってきて天ぷらうどんを注文した。
揚げたばかりの天ぷらが乗ってうどんが出てきた。
かなり熱いだろうと思っていたらちょうど食べやすい温度の汁で
とっても美味しい。
天ぷらも揚げたてでこれまた美味しい。
うどんを半分ぐらい食べたところでいきなり揚げたての天ぷらが
どんぶりの中に放り込まれた。
横で食べていた友達はギャっと声を上げた。
店のおじさんにギロッと睨まれた。
常連の客だったら心得ていることだったのだろう。
ちょっと怖くてスリルもあって更に美味しい天ぷらうどんだった。

残念ながら数年後そのお店はなくなっていた。
どこかに移ったのかもしれない。
あの美味しさは今も忘れられない。
もう一度食べてみたいな。

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