イギリスで始めたこと

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実家には最低でも一週間に一回は電話をしている。
頻繁にかけているつもりでも一週間の間に色々な事が起こる。
今日、一週間ぶりに電話をするとちょっとした事件があった。

数日前母が庭で草むしりをしていると宅配便を届けにきた。
着払いで３０００円ほどの物だったが
母は頼んだ覚えはないし私からも何か届くとは聞いていなかった。
母は配達の人に頼んだ覚えはないし急にお金と言われても
払えないので送り主に戻してもらえないかと頼んだところ
いいですよと品物を引き取ってくれた。
その数時間後に荷物を送り付けた会社から電話が来た。
なぜ品物を受け取らないのかと。
母は父が承諾して住所をそちらに教えたようだが
自分は一切報告を受けていない。
夫は少しボケてきてもいるので商品が何であるかもわかっていないし
我が家のどこにお金があるのかもわかっていないので
勝手に物を売りつけるのはやめてほしいと言うと引き下がった。
今度は母に商品を勧めようとしたが興味ないと電話を切ったそうだ。

ここ一、二年父の物忘れが激しくなっている。
電話で母に伝言を頼んでも３０分くらい経つと忘れてしまうので
伝言はあきらめた。
父は電話を取ることは好きなのだがどこから電話がかかったを忘れるので
母には伝わらないこともしばしば。
前まではできていたことができなくなったり
やり方を教えても次の日には覚えていない。

母は週に一回でデイケアーに出かけるので
その日父が一人で家に居た時に起こったようだ。
いろんなことを覚えていないのによく自分の住所が言えたねと
母に言うと父が胸に下げている連絡先が災いしたと言う。
実は母が入院中だった時父が買い物に出かけて迷子になったことがあった。
その時お世話になっている叔父夫婦が考えて
迷子のなった時のために連絡先を書いたプレートを
身に着けるように父に言い聞かせてくれた。
母には迷子になったことは言っていない。
このプレートが今回は仇になってしまった。

今回は母が機転を利かせて済んだが
老人を狙ったこういう商法は許せない。
金額は３０００円程度だったしクリーンオフをしなくてもよかった。
しかしもしこれが高額で送り返すこともできず
面倒なことになっていたらと思うと複雑だ。

  

昨日実家に電話を入れるといつもは母が出るのだが
手が離せなかったようで父が出た。
久しぶりだったのでちょっと話をした。
７日が父の誕生日なので誕生日カードと
プレゼントを贈ったことを伝えた。
ところで幾つになるのと知っていながらわざと訊いた。
すると父は「９０歳」と言う。
父は昭和６年生まれの７９歳。
なんで７９歳なのにいきなり９０歳になるのとたずねると「あれ？」と言う。
父は「昭和６年だから９０歳だ」とまた言う。
違うよ、８０歳だよ。１０歳もさば読まなくてもいいよと言うと
「そうか」と言って二人で大笑いをした。

去年くらいから父は物忘れが多くなりちょっとぼけてきた。
年齢から考えると仕方ないのだが。
そのおかげか母の頭はしっかりしてる。

母が電話を変わってから９０歳の話をすると
先日介護保険認定審査でケアマネージャーさんが来て
いろいろと質問した時も年齢を尋ねられると
９０歳と答えていたそうだ。
どうも父は８０歳より９０歳の響きのほうが好きみたいだ。  

父が友達のお父さんたちと比べると何かおかしいと気づきだしたのは
小学校中学年ぐらいだった。
高学年の頃になると父は何か精神的な病を抱えていると確信していた。
中学に入る頃、保健体育の授業で精神病の章をやっていたとき
躁うつ病の説明を読んでこれが父の病気だろうと思った。
ちょうどその頃中学に入る私に母がもう知っておいたほうがいいだろうと
父の病気について教えてくれた。
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母はいまだに入院中。もう半年になってしまった。
母の状態は退院してもかまわないほどなのだ。
私が日本にいれば退院させてやれるのだが・・・

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