紺のハイヒール

kemmi

2011年08月17日 01:27

中学にあがる時に私は母に紺のハイヒールをねだった。
中学生になることは大人に一歩近づくようなイメージがあって
それにはハイヒールが必要だと思っていた。
念願のハイヒールは4センチくらいだった。
歩くとコツコツと音がして大人の音だと思った。

北海道の4月はまだ雪解けが始まったばかりでぬかるんでいた。
早く雪解けが終わってハイヒールを履いて学校へいける日を楽しみにしてた。
その日がやってきた。
ハイヒールをコツコツと響かせて颯爽と学校へ向かった。
コツコツという音がうれしかった。
自分では颯爽と歩いているつもりでいたがそうではなかった。
ずっと運動靴ばかり履いていたのにいきなりハイヒールなど履きこなせない。
半月ほど頑張って通学していたが足が疲れてきたのか
真っ直ぐに歩けていなかった。
通学路の途中に歩道はなく道路の端には20センチくらいの深さの
側溝があった。
私は歩きなれないハイヒールでその側溝に2日続けて落ちて
膝をすりむいた。
それでハイヒールとはさよなら。
ヒールのない運動靴に戻るとなんと歩きやすいこと。

結局大人になったけれどヒールの高い靴には興味がなくて
いつも歩きやすい靴を選んできた。

なぜあんなにハイヒールに憧れたのかはわからないが
一生懸命に履きこなそうとして側溝に落ちていた
12歳の自分がいま愛おしい。

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