イギリスで始めたこと

２週間に一度くらいお花売り場を訪ねてくれる老婦人がいる。
彼女はいつも欲しい花や鉢物があるとその中からいいのを選んでと頼まれる。
昨日も朝入ったばかりのアザレアに興味を惹かれたようで
その中から私がいいと思う物を選んでと言われた。
サーモンピンクの花がついた鉢を選んであげるとそれをかごに入れてくれた。
それから少しして彼女が戻ってきた。
「ごめんなさい、やっぱり今日はやめるわ。これを見つけちゃったから」と言って
かごの中に入っている箱入りのチョコレートを見せてくれた。
バレンタイン間近で半額になっている物で私も欲しいと思っていた物だ。
「死ぬときに綺麗な花を見ながら死ぬのもいいけれど
チョコレートを食べた後に死ぬんだったらもっと幸せな気分になると思うの」と
その老婦人はいたずらっぽく笑った。

今日私も同じチョコレートを買ってきた。

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